ナナフシの思い出・・・
2009年 02月 04日
突然思い出したので書いておこうと思います。
私は子供の頃から虫が大好きです。
ゴキブリとかカラフルな芋虫とか無数にいっぱい沸くタイプの虫は生理的にダメですが、例えば甲虫類やトンボやなどのさっぱり独立系の虫(?)はそのステキなフォームからして大好きで、未だに捕まえに行きたくなるような衝動に見舞われることがあります。
ブラジルではりんごも掴める力を持った激臭い巨大カブトムシ(メス)を捕獲し、それを胸に着けて自慢気に歩いていたら、アメリカ人に絶叫されたこともありました。
そんな私の今から10年ほど前の出来事です。
日本で忙しく働きながら生活していたころ、私の虫ラブを熟知している母が突然うちに大きなダンボールを持ってきたことがありました。
「あんたの好きそうなものもらってきたわよ!」
なんだろうとワクワクしながら箱を開けてみると、細長い木の枝みたいなものがいっぱいダンボールの表面にくっついています。
「これ、ナナフシだって!あんた好きでしょ、こういうの。きっと飼いたいだろうな、と思って」
バイオリンのお弟子さんで虫が大好きな方が当時おり、その方から私の為にわざわざ分けてもらったのだそうです。
私は当然喜びました。ナナフシを見たのはそれが実際初めてでもあったからです。
早速家にあったハイビスカスのプランターに8匹のナナフシを解放しました。ダンボールから出たナナフシたちは早速思い思いにハイビスカスの枝の擬態モードに入り、時にはその葉っぱを食べたりしながら、やっと落ち着いた様子です。
彼らと生活をしていくうちに、私はとにかく全く微動だにせず擬態を全うするナナフシの生真面目さに感動しました。
試しに息を吹きかけてみると、その風を感じたナナフシ達は一斉に「わたしは枝です!単なる枝なんです!ほんとです!」と訴えんばかりにゆらゆら揺れだします。ハイビスカスの枝は私の息なんかでは揺れませんから、ナナフシ達だけが不自然にゆらりゆらり風に吹かれてる演技をするわけです。敵が見たら8匹一斉にまとめ食いされるに違いない光景ですが、彼らはそんなこと全く気が付いていません。
「ほーら、虫なんかじゃない!風が吹けば揺れる一介の枝なんだから!」と敵から身を守る為に委ねられた本能で生きているその健気な姿。
私はナナフシのファンになりました。
ところがある日仕事を終えて家へ帰ってくる時、外から明りのついた我が家のロールカーテンに沢山の「キ」という字がくっついているではないですか。
そうです、それらはハイビスカスのプランターだけでは狭さを感じるようになって、家の中へ冒険に繰り出したナナフシ達のシルエットだったのです。
良く見ると天井にも2,3個「キ」が付いています。
ただ、そうやって無謀に家の中を散策されても、こっちは知らないで踏み潰してしまう可能性も出てきます。
ナナフシの悲劇が始まったのは、これは早く対策を練らねばと思っていた、そんな矢先でした。
ある方は案の定ロールカーテンに巻かれてお亡くなりになられました。
ある方はどういう経緯からか、台所にある分厚い料理本の間で押し花のようになってお亡くなりになられておられるのが翌年発見されました。
そしてある方は・・・台所の食器の水受けで溺死。たくさんの水を吸収されていつもの大きさの2倍くらいにおなりになられておりました。
脱皮に失敗して緑色の体液を流されてお亡くなりになれた方もおられます。
結局見つけられなかった方も合わせて、我が家に来たナナフシは人間の文明生活によって玉砕されてしまったのでした。嗚呼。
・・・・
虫の家の中での放し飼いってのは考え物ですね。
シカゴに住んでいる旦那は風呂場に巣くっているのクモを「ペット」と称して孤独感から意識を背けようととしながら暮らしていますが、くれぐれも間違ってロールカーテンに巻き込んだりしないように、くれぐれも注意をしておきました。彼は「大丈夫、きっちり面倒見てるし、食べ物には困ってないみたいだから」とは言ってますが、なかなか危険な感じです。
それにしても。
ナナフシ達の風に不自然に揺れる様子を思い出すと心が痛んでなりません・・・
私は子供の頃から虫が大好きです。
ゴキブリとかカラフルな芋虫とか無数にいっぱい沸くタイプの虫は生理的にダメですが、例えば甲虫類やトンボやなどのさっぱり独立系の虫(?)はそのステキなフォームからして大好きで、未だに捕まえに行きたくなるような衝動に見舞われることがあります。
ブラジルではりんごも掴める力を持った激臭い巨大カブトムシ(メス)を捕獲し、それを胸に着けて自慢気に歩いていたら、アメリカ人に絶叫されたこともありました。
そんな私の今から10年ほど前の出来事です。
日本で忙しく働きながら生活していたころ、私の虫ラブを熟知している母が突然うちに大きなダンボールを持ってきたことがありました。
「あんたの好きそうなものもらってきたわよ!」
なんだろうとワクワクしながら箱を開けてみると、細長い木の枝みたいなものがいっぱいダンボールの表面にくっついています。
「これ、ナナフシだって!あんた好きでしょ、こういうの。きっと飼いたいだろうな、と思って」
バイオリンのお弟子さんで虫が大好きな方が当時おり、その方から私の為にわざわざ分けてもらったのだそうです。
私は当然喜びました。ナナフシを見たのはそれが実際初めてでもあったからです。
早速家にあったハイビスカスのプランターに8匹のナナフシを解放しました。ダンボールから出たナナフシたちは早速思い思いにハイビスカスの枝の擬態モードに入り、時にはその葉っぱを食べたりしながら、やっと落ち着いた様子です。
彼らと生活をしていくうちに、私はとにかく全く微動だにせず擬態を全うするナナフシの生真面目さに感動しました。
試しに息を吹きかけてみると、その風を感じたナナフシ達は一斉に「わたしは枝です!単なる枝なんです!ほんとです!」と訴えんばかりにゆらゆら揺れだします。ハイビスカスの枝は私の息なんかでは揺れませんから、ナナフシ達だけが不自然にゆらりゆらり風に吹かれてる演技をするわけです。敵が見たら8匹一斉にまとめ食いされるに違いない光景ですが、彼らはそんなこと全く気が付いていません。
「ほーら、虫なんかじゃない!風が吹けば揺れる一介の枝なんだから!」と敵から身を守る為に委ねられた本能で生きているその健気な姿。
私はナナフシのファンになりました。
ところがある日仕事を終えて家へ帰ってくる時、外から明りのついた我が家のロールカーテンに沢山の「キ」という字がくっついているではないですか。
そうです、それらはハイビスカスのプランターだけでは狭さを感じるようになって、家の中へ冒険に繰り出したナナフシ達のシルエットだったのです。
良く見ると天井にも2,3個「キ」が付いています。
ただ、そうやって無謀に家の中を散策されても、こっちは知らないで踏み潰してしまう可能性も出てきます。
ナナフシの悲劇が始まったのは、これは早く対策を練らねばと思っていた、そんな矢先でした。
ある方は案の定ロールカーテンに巻かれてお亡くなりになられました。
ある方はどういう経緯からか、台所にある分厚い料理本の間で押し花のようになってお亡くなりになられておられるのが翌年発見されました。
そしてある方は・・・台所の食器の水受けで溺死。たくさんの水を吸収されていつもの大きさの2倍くらいにおなりになられておりました。
脱皮に失敗して緑色の体液を流されてお亡くなりになれた方もおられます。
結局見つけられなかった方も合わせて、我が家に来たナナフシは人間の文明生活によって玉砕されてしまったのでした。嗚呼。
・・・・
虫の家の中での放し飼いってのは考え物ですね。
シカゴに住んでいる旦那は風呂場に巣くっているのクモを「ペット」と称して孤独感から意識を背けようととしながら暮らしていますが、くれぐれも間違ってロールカーテンに巻き込んだりしないように、くれぐれも注意をしておきました。彼は「大丈夫、きっちり面倒見てるし、食べ物には困ってないみたいだから」とは言ってますが、なかなか危険な感じです。
それにしても。
ナナフシ達の風に不自然に揺れる様子を思い出すと心が痛んでなりません・・・
by dersuebeppi
| 2009-02-04 03:48