考察。リスボンいいとこ
2007年 03月 22日
ここに暮らしている日本の、特にお仕事でいらしているような方たちは不満不服で満ち溢れているみたいですけどね。
イタリアで苦労テンコ盛りの生活をこなしてきたわたくしには、ほぼ理想郷でございます。
都市なのに都市の奢りがない。
人の親切さが似非じゃない。
人の様子が表層的じゃない。
日本がさっさと排除してしまった「古き良き」光景が暮らしの中でいきいきと現存し続けている。
謙虚でありながら、尊厳を保つ人が多い。
晴天率ヨーロッパ一番。
人間至上主義&合理主義のヨーロッパにおいて、最も自然と向かいあったときの人間の儚さを自覚している雰囲気。
以前長きに渡って暮らしたイタリアは確かに全ての文化においても歴史をとっても、今に及んで全世界の人達を虜にする要素満載ですが、そのお陰で「オレ様万歳」的な横暴さが染み出てきてしまってます。「イタリアって言ったら明るくて楽しくて皆いい人でおしゃれでセンチメンタルでニューシネマパラダイス」みたいな解釈をされていることに自ら覚醒してしまって、謙虚さのケの字も感じられない場合があります。
信じられないことですが、今なんとイタリアにおいても学校の成績が悪かったので自殺してまう子供がいたりするのですよ。20年前までは有り得なかったことです。
イタリアといってもまあ地域によって差はありますけどね。
ポルトガルは確かにいろいろ不便だったり、ボロかったり、人が頑固過ぎて困ったり、いろいろあります。でも私はどうしても日本の便利さや円滑さが人間のライフスタイルとして最高のものだとは思えないのです。
みんなそれぞれですからね、日本至上主義でも別にいいんですけど。でも一応海外に出てきてるわけだからそれなりの覚悟やら礼儀やらあっていいはずなのに。そういう人に限って基本的な礼儀作法とか全然なってないし、そんな自分に気づきもしない。たまらんです。
うちのお向かいに暮らす50歳のおじさんは、私達が越してきて間もなく水道が使えない苦労を察知して、ある日私達が留守をしている間に家の扉の前に水で満たしたでっかいタライを10個も置いておいてくれてました。頼みもしないのに。親しいわけでもなかったのに。
で、お礼にってプレゼント持っていったら「絶対受け取れない」と頑固に断られてしまいました。なにもそこまで頑なに断らなくても、と思ったんですけどね。そのための親切だとは思われたくないってのがあったんでしょうね。
ぼろいだの田舎だの言われてますけどね、本質的には寡黙な大人の国っていう感じがいたします。
by dersuebeppi
| 2007-03-22 21:16