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パドヴァの昆虫博物館 Esapolis

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地元の人も行かなければ、多分どこの国のガイドブックにも出ていないであろう
パドヴァの昆虫博物館Esapolis。

ヴァカンスまっただ中という時期も重なり、もちろん自分以外の客は誰もいない。
入り口は一般の人の家を訪れる時と同じ様に、呼び鈴を押す。

5回くらい鳴らしてやっと瓶底眼鏡をかけたお嬢さんが扉を開けてくれた。
掃除中だったのか右手にはモップが握られている。


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もともとはこの地域で営まれていた養蚕記念館みたいなものだったのが
パドヴァ大学との提携で昆虫博物館になったのだそうだ。
だから博物館の展示物の半分以上は蚕の繭。

品の良いアンティーク戸棚の中に巨大な蚕の幼虫と成虫のフィギュアが展示されていた。
いつ頃作られたのか知らないが、どうして真ん中が横に割れているのかわからないが
なかなか恐ろしい。

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今夜の夢に出てくるかもしれない成虫の触角

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廊下に陳列されている標本も、形が整えられていないだけでなく
脚がもげていたり、昆虫の向きが回転していたりと、かなりいい加減な様子


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養老孟司先生もおっしゃっていたが、海外の標本はいい加減なのが多いらしい。
私なんか標本は額に入った自然の芸術作品、なんて思ったりしているわけだが
これを作った人にしてみれば標本は観察に支障がなければそれでいいや、という感じなのだろう。
クワガタの標本箱の右下に蚕の繭が落ちていた。
繭が多過ぎてあちこち混入してしまったのだろうか。

ちなみに18世紀の蜂の標本は、布地に貼付けられていた。

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去年のグッチの蜂シリーズが思い出された。

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昆虫採集の道具や,古のパドヴァ大学の昆虫学者達の肖像が階段に寂しく並べられている。




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誰もいない廊下をひたすら進んで行くと、正面の部屋の中央にはまたしても
巨大蚕のフィギュアが飾ってあった。
今度は先程のやつよりずっとリアルなものだ。

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昔息子にねだられて買ったモスラのフィギュアを思い出した


別室に入るとなぜかそこには南洋の魚の入った水槽が設置されていた。
壁の上部には三つの穴が空いていて、2つは塞がれているが1つはとなりの部屋が見える。
もともとここには何があったのだろうか。

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実物の写真は載せないが、実はこの昆虫博物館には、害虫の展示が大変多い。
しかも生きているマダガスカルのゴキブリは増え過ぎて巨大な水槽がいっぱいになっていた。

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子供達に昆虫の魅力を広めるのがこの博物館の主旨の1つでもあるらしいのだが
ゴキブリばかり何種類も、しかも生きたままのがあんなにいっぱい水槽に詰まっていたら
逆効果なんじゃないかな、とちょっと思ったりしたわけである。

次に多かったのはナナフシ類。
これも水槽の中で羽化していて、結構な数になっていた。

果たしてパドヴァのちびっこ達は、ここに来ることで本当に虫好きになってくれるのであろうか。
ちょっとばかり心配である。

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この博物館で一番面白かったのは、養蜂の部屋だ。
中が見える仕組みの養蜂箱に接続したアクリルの通路がそのまま壁の外に繋がっていて、
ミツバチ達の出入りをじっくり観察できるようになっている。

プリニウス先生がこの世で一番素晴らしい生き物だと大絶賛していらしたミツバチだが
確かに見ていると、なんと社会的で秩序のある昆虫なのかと感心してしまう。


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出口付近には巨大飛翔クワガタがつり下げられていた。


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受付付近にもと展示物であっただろう昆虫の標本がバラ売りされていた。
最初に出て来た瓶底眼鏡のお姉さんから、どれかいらないかと声を掛けられる。

脚のもげたトゲナナフシと、日光で変色したアトラスオオカブト。値段はたったの20ユーロ。

家に帰ってからも考えてみて、どうしても欲しかったらまた来ます、と告げて外にでた。
メンテナンスも含めて、財政的にかなり厳しいのだろう。心配である。



以上、パドヴァの昆虫博物館Esaolisの概要でした。


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by dersuebeppi | 2018-08-19 02:12

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