ふたつの海のあいだで
2017年 02月 28日
ティレニア海とイオニア海という、ふたつの海に挟まれた南イタリア・カラブリア。
この州にあるとある町を舞台に繰り広げられる人間の凄まじくも逞しく、情熱に突き動かされる人々のあり方を描いたカルミネ・アバーテの日本語訳新刊「ふたつの海のあいだで」(関口英子訳・新潮社)
文芸PR誌「波」にも書評を書かせて頂いております。
作者であるアバーテも古アルバニア語源の言葉を喋るという地域の出身だそうですが、カラブリアという地域の人々の独特なメンタリティと奥深さに読み進めているとどんどん引き込まれていくでしょう。物語のなかに登場する、昨今ではシチリアのマフィア、カンパニアのカモッラを凌ぐ犯罪組織とされる“ンドラゲタ”の脅威をものともしない、ジョルジョ・ベッルーシ爺さんの生き様には惚れ惚れするばかりです。
イタリアのこういった側面をとらえた作品も日本で多くの方達に読まれますように。
by dersuebeppi
| 2017-02-28 08:57