古代人の写実画のクオリティ
2016年 08月 09日

エジプトのアンティノーポリスから発掘された「兄弟」と呼ばれるミイラ肖像画
ローマ帝国の属州となったエジプトでは紀元前一世紀頃からこのような写実的なミイラ肖像画なるものが普及していたらしいが、それにしても約2000年前にこの写実力。
(雑誌の写真を撮影:イタリア版 National Geographic STORICA 8月号より))
左の青年の方にある金色の象は、130年にハドリアヌスの愛人でナイル川で亡くなり(本当は溺死と思われるが、ワニに食べられたとも伝えられる–ワニに食べられた人間は神になるとされていたらしい–)神となったアンティノウス“Osirantinoo"。このミイラ肖像画が見つかったアンティノポリスはその後に創設された街なので、紀元後2世紀か3世紀に掛けて描かれたものだろうか。
古代ローマの属州であったエジプトのアンティノポリスやファイユームといった都市には多くのギリシャ人達が移り住み、エジプト人と混じり合ってギリシャ・エジプトの文化が渾然一体となっていたらしい。
肖像画の顔を見ると、確かにギリシャ+エジプト的な感じがする。

この棺に描かれた絵では死者の服装がローマ風。
テクニックは絵画技法最古のものとされる蜜蝋を使ったエンコスティックかテンペラによるもの。
by dersuebeppi
| 2016-08-09 22:53