イタリアの漫画祭りは素晴しい
2011年 11月 02日
ルッカ・コミックフェスティバル。
まさかこんなに大規模な祭典だったなんて、これは行ってみるまでちょっと想像できませんでした。
まだニュースはチェックしていませんが、5日間の開催期間で少なくとも15万人は訪れていたんじゃないかと思います。
日本のコミック系の集まりと違うのは、街全体が祭典の会場になるということ。
別に漫画やアニメに興味が無い一般人でも誰でもじゃんじゃん参加できること。
コスプレも完成度なんかどうでもよし、本人がそれに酔いしれて楽しければよし。
老若男女に家族連れ、なんでもあり。
いやあ~
たった3日しか滞在できませんでしたが、実に楽しかったです。
ちなみに私は今回、イタリア語版の「テルマエ・ロマエ」が出版された事に及んで、2日間に渡って人生初のサイン会をさせていただきました。
捲ってみれば、かわいい女の子なんか一人も出てこない、おっさんの裸だけの内容だと言うのにもかかわらず、みんなしっかりと本を胸に抱えて並んでくれて、もうなんだか申し訳ないやら嬉しいやら。
2度設けられた講演会みたいな場では、必死で「この漫画は皆さんが良くご存知のニッポンの漫画で描かれるようなモエもカワイイも何もありません、絵柄も全然漫画っぽくありません。その点はよーくご了承頂きたい」と
必死で語る私。そのうち議題は「サブカルとはなにか」にまで及んで収集が付かなくなる始末。
しかもサイン会と違って講演会に来ている客層は何だかもっと大人な感じで、私が想像していた明るく和気藹々な雰囲気というよりは、大学の講義みたいになってしまいました・・・
でもその翌日のサイン会では
「あなたはこの漫画にはモエもカワイイも無いって言っていたけど、私にはルシウス、超モエですっ!!」という眼鏡女子が現れて感動してしまいました。あなた、かなりレベル高いわ!!と答えながら握手を交わす私達。
それから、ある男子はルシウスがショールームに出て来るシーンを開いて、
「ここに出て来る女の子が好きです、このシーンが一番お気に入り」と教えてくれました。
やはりイタリア人にはイタリア人の読み方があるものなのかもしれません。
街中に繰り出せば、そこはもう完璧なイモ洗い状態。
でも一人としてそれにストレスを溜めているような様子もなく、道行く様々なコスプレにカメラを向けています。
このコスプレも、別にとにかくどうでなければいけない、という規定はありません。
皆の知っているメディア上でのキャラであれば何でもよし。
またこのコスプレーヤーの皆さんの陶酔しきっている様子。堂々とした様子。物凄いゆとり感。
中には汗で背中に貼り付けたものが剥がれ落ちて居たり、段ボールで作った装着式のメカ衣装がボロボロになっている人もいましたが、もうそんなことには誰も頓着しません。
家族全員でコスプレってのもいましたし、体の不自由なバットマンの車椅子を押しているのが執事アルフレッドっていう、ちょっと胸を打たれるコスプレも見かけました。
若い男の子達の衣装なんて、間違い無くお母さんが手を貸してくれたにちがいないですし、なんていうか、こう、それぞれの背景に温かく寛容な家族や友人達のサポートが必然的に垣間見えて来るのです。
かなりご高齢の老人カメラマングループが一生懸命にそんなコスプレーヤーにレンズを向けていますが、私はそれを見ていて「ああ、これはベネチアのカーニバルのゆるゆるバージョンかもしれない」と思いました。
あんな格調高さはどこにもありませんが、そのお陰で参加者全員が一体化して楽しめる祭典になっているのです。
たまに、日本人には何だか分からないコスプレもいたりして、そしてそれがやたらに人気だったりするので物凄く気になりましたが・・・・でもこのように世界中の漫画が入り混じっているのもとても面白いなと思いました。
日本にいると他の国の漫画を広く知る機会ってなかなか無いと思うのですが、このコミックフェスティバルではそういった点でも非常にグローバルで、そんなこともあってきっと居心地の良さを感じたのかもしれません。
人生に一度、この美しいルネッサンスの古都で開催されるマンガを軸にしたイタリア人の人生謳歌祭り、是非機会があったら漫画大国である日本の方にも見に行って頂きたいなと思いました。
(ルッカはフィレンツェから70キロ。食べ物もめちゃくちゃ美味しい素晴しい街ですよ!! レストランに行ったらなんとこんなサインが!!!)
by dersuebeppi
| 2011-11-02 22:29