日本のパン粉

先日、只今Bethで連載している「それではさっそくBuonappetito」の担当のMさんから、立派な小型の箱の小包が届きました。

うちに荷物を送ってくれる人、例えば母などは、輸送量削減のために煎餅やらスナックも、「ゆうパック」の手提げ袋に入れて送ってくれるので、毎回私達は袋の中でばりんばりんのこっぱ微塵になったそれらの菓子の原型を拝めた試しがありません。

Mさんはしかしそんなみみっちいことはせず、小型でありながらもがっしりと頑丈な箱でとあるものを送ってくれたんでした。

「なに?なにが入ってるの!?」
と目を輝かす息子。
普段「ゆうパック」の簡易小包しか見ていないので、今回はなにやらとんでもない豪勢な物が送られてきたにちがいないという確信に満ち満ちた瞳が光っています。

厳かにテープを剥がし、中身が現れました。

「なっ・・・!?」
肩を落とす息子。
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中身はパン粉で二袋でございました~!!

パン粉は確かに「ゆうパック」の袋で送って破裂したりしたら、もう収集つきませんからね。これくらいの完全確実包装でこそ、ぱりぱりの、ふわふわの状態のパン粉がユーラシア大陸の果てまで届くってもんですよ。

そもそもなんでパン粉なのかっていうと、先日連載中の雑誌Bethの打ち合わせでMさんと電話で喋ってて、欧州には日本みたいなパン粉が存在しない!という話で盛り上がったんでした。
例えばイタリアのCotoletta alla milanese(ミラノ風子牛肉のカツ)だの、ポルトガルの干し鱈のコロッケなど、衣になっているのは確かにパン粉なんですが、粒子が極めて小さい砂のようなもので、あの日本のトンカツのようなサクサクな感触を醸せる類のものは存在しません。

一度普通のパンを乾かしてバラバラにしてパン粉作りをトライしてみたこともありましたが、それだけでもう食事を作る、という意気込みが萎えてしまって途中で諦めてしまいました。
かといってあの細かい粒子のようなパン粉のトンカツやエビフライはそんなにそそられないし・・・

なーんて事を言ってたら、Mさんがご親切に日本のパン粉を送ってくださったわけです。
あ、もちろんこれをネタに漫画を描くっていう事で・・・ははは。

で、早速つくりましたよ、倍焼造り生パン粉でサクサクのトンカツ!
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んまああ~っ!!

トンカツ大好きな息子も大満足で、「夢がかなうならトンカツにまみれて暮らしたい」とか言ってるし、揚げ物が苦手な旦那もトンカツだけはあっという間に平らげてしまいます。

たかがパン粉、されどパン粉。
しかも「倍焼造り」ときたもんですよ。凄いな、日本の製品製造技術って半端じゃないな。
ありがとうMさん!

で、関係ありませんが、今日のおやつはブラジル名物「ポン・ディ・ケージョ」。
作りすぎて食べ過ぎて胸焼け炸裂。
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でもこれが食べたしたら止まんないんすよ。

ここ数日間の摂取カロリーについては考えないようにしよう。

ああ、そうだ、それと!!おいしいものついでに今ポルトガルでオンエアされているコカコーラのCMです。
「イワシに愛されて」
これをご覧になっていただくと、いかにポルトガル人が「イワシ、ラブ」かがお分かりになられると思います。
コピーはズバリ「彼らを引き離すな!」
イワシとコカコーラ、意外なかんじで結構いけそうです。
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# by dersuebeppi | 2007-04-08 21:13

ポルトガル北部

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只今子供の学校が「復活祭休み」中です。

復活祭休みってのはつまり、日本で言うところの「春休み」ってところなんでしょうけど、長いですね、2週間。
それだけの時間があるのだから、いっそ飛行機に乗ってブラジルだとかアフリカだとかに行きたかったんですけど、そうこうしているうちにイタリアのお姑さんから案の定「あら、そんなに休みがあるのなら、こっちにいらっしゃいよ」攻撃も掛かりだし、「い、忙しいんで!!」という咄嗟に出てきた口実上遠くへ行くことは諦めねばならなくなりました。

で、結局車で今まで行ったことのないポルトガル北部、Douro川付近やポルトガルで一番高い山のEstrela山脈やらを訪ねてみよう、ということになったのでした。
リスボンから車で3時間くらいですかね。
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Douro川沿岸地帯はポートワイン等の葡萄が収穫されるところで有名で、山の傾斜が一面見事な葡萄棚状態。イタリアのチンクエテッレよりもダイナミックで、まさかこんなに規模の大きいものだとは思っていなかったのでびっくりしました。
泊まったホテルの窓の外の景色も、部屋に飾ってある絵もこの葡萄棚斜面に覆われた山。
こんなところになる葡萄を収穫するのは相当な気合入れないとダメなはずです。
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いや、実際Douro川沿岸の葡萄収穫の過酷さはかなり有名なものらしいですね。
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で、この川を3日間くらいかけて巡るクルーズもあります。
調度私達の前を、そのクルーズ船が通り過ぎて行きました。ここに生きるのは過酷でも、眺める分には確かに最高の景観であります。

我々の泊まったLamegoという街も、時間の経過が齎す様々な物質的現象をそのまま残してある、赴きたっぷりのところでした。
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教会の外観も中もなんとも強烈な重みを醸すものがたくさんです。イタリアの教会なんかでは感じられない、ちょっとこう、スピリチュアルさが深めの空気っていうか・・・
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街をゆく買い物帰りのおばさんも気合入ってます。
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あと、世界的にも有名なポルトガル産ワイン「マテウス」の街も訪れました。
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ボトルのラベルの描かれているお館、ここにあったんですね・・・ へえ~
っていうか、この街はこの建物とあと数件の家があっておしまい、って感じのこじんまりしたところでした。世界に名だたるマテウスの生産量を考えると、随分謙虚なたたずまいの街です。

それから、ポルトガルで一番高い山脈エストレラ。
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ここはポルトガル屈指の絶品チーズで有名なところですが、冬はポルトガル人憧れのスキーのメッカ。実際頂上付近まで行くとまだ雪が残ってました。
細くて長いピンカーブがセーターの網目のようにいつまでも続き、普段酔わないわたくしも終いにはストップを掛けてしまうほどでしたが、とりあえず国で一番高い山をたずねた安堵感には見舞われました。
エストレラ制覇!(って歩いて登ったわけでもないのに・・・)
でも、なんで高い山があると登ってみたくなんでしょうね・・・

帰りに窓から外を見たら、猫みたいな雲を発見。
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最初はクマに近かったんですけどね。
で、この後首がどんどん伸びて引き千切れてしまいました。あっけないですね、雲の形って。

今回の旅の収穫;
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べっこう飴の味のする超素朴なアメと、「世界各国で数々のメダル受賞」とどうみても80年は経っていそうなパッケージに記してあった、これまた超素朴なクッキー。
添加物一切無使用。
たいして美味しくないんですけどね、こういうものこそポルトガルくらいででしか食べれないものなんじゃないかって気がします。
今回の旅もこの菓子のように、素朴だけど歴史の深みたっぷり、って感じの旅でした。
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# by dersuebeppi | 2007-04-07 03:44

アラビアドラ猫

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うちのネコはお風呂場の、便座の向かいにおいてある木製の物干しの支え棒で爪を研ぎます。

朝、ベットから起き上がったその足でそのお風呂場のドアを開けると、さっきまで足元で寝ていたネコもささーっと軽やかに私の足元をすり抜け、すぐにその爪とぎ場へ行ってバリバリやるわけですね。

それはまあ、いいんですけど、異常なのはそれを見つめながらトイレに座って用を足す人間の言葉ですよ。

「んまああ~ うんまいねええ~ すごいねええ~ つめとぎじょんずだねええ~ いいこいいこお~ おりこうさ~ん」

今朝はこんな台詞を日本語でつぶやく旦那の声が風呂場の向こうから、ネコの爪とぎの音と一緒に聞こえてきました。

日本語を話せぬ彼がなぜ流暢にこんな脳細胞がどうかしてしまったかのような日本語のネコ撫で声を駆使できるかというと、それは明らかにわたくしから感染したからです。
耳にする機会の多い言葉ほど覚えるのも早い、というわけですね。

それから

このネコは私が仕事を始めると必ず机の上に来て横たわるのですが、それをどうしても追い払えないわたくし。
追い払えないどころか顔を彼の白い毛に覆われた腹にうずめてふんがふんが匂いを嗅ぐ。
それがもう、なんていうか、いい匂いでしてねえ~
こう、仕事なんてもう二の次?みたいな気分にさせられる、そんな覚醒作用を催させてくれるのです。

そんなことをしていると旦那も「あ、ずるい!」と走りよってきて、同じように顔をうずめて匂いを嗅ぎ、目を空ろにしながら
「おほおお~ むふうう~ 」
揚句
「これぞしあわせのにおいだ~」
とかため息ついてるわけです。
ネコはじっとしてますけどね、たまに虫の居所が悪くて頭叩かれることもありますよ。

もう完全にネコ毒にやれてますね、うちの家族は。

「もじょもじょなのねええーん」」
「こんなにもこもこに生まれたのオ~ えらいねええ~」
「んまああ~まんまんまあるいの~ いいわねええ~ すてきねええ~」

意味不明。

ところでうちのネコは4年前、シリアのダマスカスに暮らしていた時、マンションの入り口付近で車におびえてぶるぶるしているところを見つけ出され、無理やり我が家の一員になったのでした。当時は手のひらに乗るくらいの大きさでございましたから、多分生後一ヶ月とか、そんなもんだったんじゃないでしょうか。

アラビア人は犬は嫌いますが、猫は何だかんだで愛でていて、あの近辺だけでももうおびただしい数のネコが暮らしておりまして、それぞれのコロニーみたいなのも形成されておりました。みんないつも堂々と道路に備え付けの大型ゴミ箱周辺をうろつきまわり、人間が近くに来ても逃げるでもなく威張り腐っています。
多分うちのネコももれなく、そんなゴミ箱の中で生まれた猫の一匹に違いなく、多分彼の祖先から受け継いできた細胞の中には飼い猫だった記憶などは一抹もありません。
だからかしりませんけど、物怖じ一切なし!!

普通ネコって、環境変わると家の家具の下にもぐったり、隠れたり、そういうことするじゃないですか。
でもうちのネコはダマスカスの家につれて来られた時も、地面に足をつけたその瞬間からまるでそこに住んでいたかのように振る舞い、食べ物を催促し、飛行機でシリアからイタリアの実家へ移ったときも、その後に2500キロポルトガルまで車で移動した時も、それからいろんな場所へ旅行で連れて行ってホテルに泊まるときも、どんな時もまず怯えた試しがないのです。どこもかしこも、まるでそこはもともと彼のテリトリーであったかのような落ち着きっぷり。

ポルトガルに暮らし始めてからは、ちなみに3階のベランダから2回ほどハトを捕まえようとして落ちましたが、怪我ひとつせず、それどころかたった1日行方不明の間に裏の駐車場を我が物顔で練り歩いて周辺の人に目をつけられたほど。そのお陰で私達も人づてに彼を見つけられたのですが、今は首輪にしっかり電話番号を書き記してあります。
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こいつは多分、一度外に出てしまったら、瞬く間にドラネコに舞い戻るのでありましょう。

「爪とぎ うんまいねえ~ まあるいねええ~ん  大しゅきい~」

などとアホな声を発する飼い主のことなど一瞬にして忘れてしまうのでありましょう。

恐るべし、人間への媚を一切知らないアラビアドラ猫。
でもあと中毒になってしまった私達のために30年は生きてもらわんとね!!
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# by dersuebeppi | 2007-04-04 03:05

デルス・ウザーラ

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うちの息子の名前は彼から頂戴しました。

デルス。

イタリアでは「日本語でどういう意味なの?」と聞かれるし、
日本では「イタリア語でどういう意味なの?」と聞かれます。

でも、これは東シベリアのナナイという民族の名前なので、日本ともイタリアとも関係はありません。ちなみに日本語に訳すると「白い丘」という意味らしいです。息子が生まれた瞬間、直感的につけた名前にしては、突飛な意味のものじゃなくて良かった。これが「馬の尻」とかだったりしたら焦りましたけど。

でも、それでもデルス以外の他の名前は、あの時点での私には思い浮かべられなかったような気がします。

そしてこのDersuという名前ですが、実は日本よりも欧州の方が知名度が高い上、そのほとんどの人がこれを日本名だと思っていたりするので驚きます。

デルスとは、1973年に黒澤明監督が撮影した映画「Dersu Uzala」の主人公であり、もともとはロシア人探検家ウラディミール・アルセーニエフという人の探検記録を元にしてあります。この探検記録自体はロシアでは読む人があっても、世界的に知られていたわけではないんですが、この黒澤明監督によって一気に世界にその名前が知られることになったんでした。
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で、たまたま監督が日本を代表する人だから日本語の名前なんじゃないかと錯覚している人がいるみたいなんですね。

でもこの映画は黒澤がソビエト連邦国から招聘され、オールソ連出資、オールソ連ロケで作られたものなんです。スタッフのほとんどもロシア人で、黒澤映画の常連俳優たちは一人も出演していません。(かの三船敏郎には主役のDersu役としてオファーがあったそうですが、2年のロケは無理ということで断ったそうです) 
監督自体は、この記録書を実は助監督時代から読んでいて、ずっと映画化を考えていたそうなんですが、広大な自然を舞台とするロケが北海道ですら(!)不十分ということで、ずっと実現できないでいたそうなんですね。
そこにソ連から声がかかったと。
しかも、それは黒澤監督の精神的スランプの直後だったそうです(自殺未遂などしたらしい)。

黒澤監督の25作品目となるこの映画「Dersu Uzala」は、1975年にモスクワ映画祭で大賞をとり、その翌年にはアカデミー外国語映画賞も受賞しています。
そのわりには日本では知ってる人、少ないんですよね・・・

この作品は彼の作品中唯一「自然と人間」をテーマに取り上げたものです。
自然、というよりも、舞台となる果てしないシベリアの大自然こそが主役の映画といってもいいでしょう。Dersuという人間は、このシベリアの大自然の一部であり、その精霊といってよい存在として描写されています。
仲代達也やミフネのドラマティック演技が特徴になってしまた監督の映画とは思えない、いったいどうしたんだろう!?と思うくらい彼の一連の映画の中で最も自然でソフトな作品だと私は思います。

イタリアに暮らしていた時にテレビでこの映画をたまたま見たのですが、まず何に衝撃を受けたかって、このDersuという一切人間社会に帰属しないで生きてきたおじいさんの、自然だけから授けられた純粋さの結晶でできたみたいな深さと暖かさと優しさ、人間であることの奢りのなさ、などです。
当時フィレンツェでルネッサンスだのなんだの、人間万歳てんこもりみたいな勉強ばっかりやってた私には、このDersuやシベリアの自然ってのはかなり強烈なショックでした。

デルス・ウザーラは人間によってカーヴィングされた人間ではなく、あくまで自然によって形作ら
れた、濁りや澱みのない人間とでもいうのでしょうか。
でもこんな人って滅多にいるもんじゃないですよね。今もむかしも。
やっぱり文明社会を離れないと不可能な現実逃避的理想なのかしらと思ったり。

でも、それでも彼は生きていく上で知っていなければいけない人間のかたちのひとつだと、思い続けて現在に至っております。

ちなみにうちの息子はついこの間まで、自分はこのDersu Uzalaの子孫なんだと思い込んでいたんだそうです。

違うってば。
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# by dersuebeppi | 2007-03-31 20:46
というわけで、さとなお家族ご一行様、29日朝に無事再びリスボンにご到着されました。

宿泊先のホテルまで行って見ると、外に設置されたベンチにくつろぐさとなお氏発見。

「いやあ~ どうもっ!」

青空をバックに氏の顔がつやつやしているではないですか。
そこにリスボンの強い日差しがあたって更にまぶしく光り輝いているではないですか。
もう誰かどう見ても絶好調なオーラが周辺一帯に放出されています。

それを見て、ああ、よかった、楽しかったのね!と思う私。
奥様も響子ちゃんもにこにこ顔で元気そう。

いろいろ旅の話を聞きながら、唯一食べたかったのに到達できていなかったポルトガル料理、カモご飯を食べに古さと斬新さが渾然一体となったバイロ・アルト地区にある食堂へ。

私も始めて行ったレストランですが、ポルトガルのネットで「カモご飯の旨い店」で検索したら出てきた場所で、外には目立つ看板も出ていません。
ここでカモ飯を食べ、やっと車の運転から開放されたお父さんはアレンテージョのワインを煽り、さらにまたご機嫌オーラアップ。
カモご飯の後は残りのお買い物を済ませ、旦那がランチャで迎にきて、べレンという大航海時代の港跡地を訪れた後、わたくしたちの暮らす古くてしょぼいが愛しい我が家に3人をご招待いたしました。


それにしても響子ちゃんというのは本当によくできたお嬢さんでございます。

買い物の間もお父さんお母さんが自分の世界に突入して気もそぞろになっている、そこから数歩下がった位置で静かに二人の興奮が収まるのをじっと待っている、その姿を見て感動したわたくし。

氏のPCの中に入ってるBy響子のポルトガル旅行写真を見せてもらうと、素敵な被写体がたくさんで、旦那が思わず「この写真、CDに落としてもらえないでしょうか!」と頼んでしまうほど。様々なトラブルに遭遇しつつも、結果的にはポルトガルに対する彼女の暖かい気持ちがうかがえる、そんな作品ばかりでございました。

優子夫人も最後の最後までチーズに情熱を注ぎ続け、どのくらいの荷物になったかしりませんけど大満足気味。アゾレスなどの島系のチーズまで入手できたので、とりあえず思い残すことは無いのではないでしょうか。
彼女とは、夜の食事の場で母校が同じ(彼女は西で私は東側ですが)だったこと発覚!!
私の単行本の中にちらっとでてくる、私が高校生だった時の回想シーンのコマの制服を指差し、「ね、これってどこの学校?」
思いがけないところに共通点発見でございました。

ま、そんなわけで夜はうちの近所のカタプラーナ鍋(特殊な銅の鍋で魚介を煮込む)専門点で最後の晩餐をし、たらふく食べてお開きとなりました。
カタプラーナ、量が見かけによらずたっぷりです。
「う・・・も、もう入らない!」とみんなでおなかをさすっているところに、給仕のおじさんが微笑みながら「ほら、もう少しくらいいけるんじゃないですか」とおかわりを注ごうとします。「いや、もう」と控えめな態度は効き目なし。
結局みんなで二杯くらいづつ食べた勘定になるのではないでしょうか・・・ 最後にはもう血までカタプラーナになってしまったような、そんな心地がいたしました。


リスボン、夜になると少し冷え込んで薄着のさとなお一家風邪を召さないかとちょっと心配になるも、「あ、風邪ひいたら会社休むし!」と強気。
・・・そうかあ、こんなのどかな体験の後には日本のめまぐるしいサイクルの生活が待っているのかあ、と思うと感慨深いものがございます。

でもこの一週間のポルトガル滞在が、そのための活力源となってくれてたら、私も嬉しいのですけど。

おつかれさまでございました!
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# by dersuebeppi | 2007-03-30 19:03
昨日の夕方、宿泊先であるBel monteのポウサーダに到達した、さとなお氏から電話。
何よりもまず奥様の状況をうかがうと、

「あ、正露丸も飲んだし、今平気みたいっすね」

ほっと胸を撫で下ろすが、さとなお氏、快活な笑い声と共に続けた。

「それがね、実はあの後、接触事故がありましてねえ、えへへへ」

えへへへ!? 

「しかも娘のデジカメも無くなっちゃって」

はア!?

「で、散々道に迷ってやっとさっきここに着いたんです。いやあ、いいとこですよお~、ここ!!」

・・・・

詳細はそのうち氏の方からHP上でご説明があるでしょうけど、とにかく確実なのは、ぱっと想像してみたところ起こりうる全てトラブルが将棋倒しのようにこの3人家族に覆いかぶさってきたということであります。

優子夫人の腹痛も、駆け込んだレストランの迅速な対応で(優子夫人が「ト、トイレ・・・」とうなって入り口に入ったとたん、店の人がそれ以上のことは何も聞かずトイレの鍵を投げてよこしてきたんだそう)、一応解決。

その後さとなお氏の借りていた車とどこぞのBMWが接触事故。電話での会話の記憶が曖昧なんですが、どうも相手側のサイドミラーが外れたそうだ。

緊急停車したBMWからはグラサンをかけた若い男が出てきて、さとなお氏の焦りが最高ピークに達するも、よく見るとなんだかその男はへらへら笑っている。

こ、こんなヤバイ事態でにたにた笑っているなんて・・・・

「おんどりゃテメェ、よっくもオレの愛車に傷付けてくれやがったなあ」
とか、
「オレ様の車に接触するなんて、おう、大した勇気じゃねえか、え!?」

・・・等とさとなお氏の想像力、どんどん膨張。

すると、後ろから走ってきていた車が、接触した際に落ちたBMWの部品(ミラー?)を「おい、おめ、これそこさ落ちてただべ」と持ってきてくれて、BMWのグラサン男、それを受け取るやいなや自分の車の接触部分にあてがってみる。

かち、っとはまったらしい。

その瞬間、張り詰めていた辺りの空気が一気に緩みだした。

若い男はそれを見納めるなり、くるりとさとなお氏を振り返り、「オッケー☆!!」と満面の笑みでオッケーサインを送ってきたそうである。
しかも本当に嬉しそうに。

そしてそのままBMWは何事も無かったかのように、その場を立ち去って行ったのでありました。

めでたしめでたし。

・・・と、まあ、私がさとなお氏との電話で把握できたのはざっとこんな感じの内容でした。


「いやあ、やっぱりポルトガルはのどかだなあ!ふつうじゃああはいかないでしょ!」とさとなお氏の声が清々しい。これだけトラブルテンコ盛りの1日を過ごしてきてそうくるか。懐のでかさを感じさせてくれる。

「でも、響子ちゃんのカメラがなくなっちゃったの(カフェのテーブルに置き忘れてしまったそう。戻った時には姿は無かった)・・・あんなに一生懸命写真取ってたのにかわいそう~!」

「いや、それがその直後に優子の腹痛、そんでもってその直後にBMWと接触事故、でもってその後に道を間違えたりして、もう自分のカメラの事なんて考えてる場合じゃなかったのよ、彼女!」

そ、そりゃあそうだな。

しかし響子ちゃん、たった1日だけでこんなしっちゃかめっちゃかな体験を味わっちゃったら、そらもう、今後何が起ころうと驚かない冷静な判断力が身についていくでありましょう!

自分も14で自ら波乱万丈一人旅をやったことあるけど、結構この時期に体験するいろんなトラブルってそれからの人生の土台的要素になるんですよね。
自分の目の前のあたふた大人二人を見つめる、彼女のクールな表情が頭に浮かびます。間違えなく、小さいことでくよくよ悩むような器の狭い女にだけはならんでしょうな。

とりあえず素晴らしい環境のポウサーダに向かいいれられて、すっきり厄落としをした爽快な夜を家族でお過ごしになられたでありましょう。


今日は何も起こりませんように・・・
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# by dersuebeppi | 2007-03-27 18:04
メールボックスになにやら緊急気味な空気を放つメール発見。
しかも差出人「さとなお」。
先日リスボンで半日観光をご一緒させていただいたご家族のご主人だ。
(詳しくはこちらがご本人のHPです:さとなお

あら?もうポルトガルのどこぞでPC接続できちゃったの?さっすが・・・と思って読んでみると、

「い、頂いた電話番号がつながらんのですが!」

え?

その文の下に私がメールで送った電話番号が貼り付けられています。

「ここに掛けてもつながらんのです!」

こ、これ・・・・ち、ちがうじゃないか。
思いっきり番号間違ってる。
だれだ、こんな偽電話番号を書いたやつは!

あたしだ。

あたし、自分家に電話かけないんで、よく知らないんですよ、自分家の番号。
・・・なんて弁解になりません。
なんせお別れ前に「何かあったら必ず電話してくださいよ、どんな些細なことでもいいから電話ね!!絶対ですよっ!!」とお節介ババアのように口をとんがらせて叫んでいたにもかかわらず、何たる失態であろうか!!
あせってさとなおさんの携帯に電話をすると

「ち、ちょっと待って!いまもうちょっとしたら掛けなおして!」
と、なにやら大変お焦りの様子。

何があったんだろう・・・

「え!?車ぶつかったって!?」と縁起でもない憶測を堂々と口に出しながら旦那が駆け寄ってくる。

「いや、なんかそんな雰囲気ではないけど、なんかこう、でも何かが起こってるような声色だった」
「は、早くもう一回かけてごらんよ!どうしたんだろう!?」

もう一度掛けなおしてみると、さきほどより幾分落ち着いたさとなおさんの声が受話器の向こうに聞こえた。その途端、必要もないのに大声で「大丈夫ですカーっ!!??」と叫ぶ私。「ごめんなさいーっ、あたしーっ、大バカものでしたーっ!!!」とのたまう私。傍らから「あんた声でかいよ、ちょっと怖いよ」とささやきかける旦那。

「いや、あの、実は妻がおなか痛くなっちゃって・・・ははは」

「ええーっ!?」

ははは? 笑ってるゆとりがあるように一瞬聞こえるが、実際はかなり引きつってる可能性もある。手に汗が滲み出す。

「いや、今とりあえずレストランのトイレに・・・」

ここからじゃすぐに駆けつけられる距離じゃないしな・・・でももっと深刻な事態になったらすぐに行ってあげねばと心の準備を決める旦那と私。

お腹か・・・

でもね、そういえば優子夫人ったら、リスボンでの半日観光の時も最初に訪れた市場のチーズ売り場で「ああっ。あたしこれ!あたしこれ味見する!」と、私でさえ買ったことのないフレッシュ系のチーズを指差して興奮なさってたんですよね。差した人差し指の先っぽにはガラスのショーケースに食い込まんばかりの力が込められてました。

で、それを注文していると、隣のおばさんが注文していた辛そうなサラミにいち早く視線が釘付けになり「あっ、あれもおいしそう、あれも味見したいな!」ということで、私も盛り上がってチーズと一緒にそのサラミも購入。
で、近所の公園でカードゲームで盛り上がるおっさんたちを眺めながらもりもり試食会をしたんでございますが、

「おれさ、フレッシュチーズをそうやって食べる人見たこと無い」と、フレッシュチーズを鷲掴みで頬張る妻に向かってさとなおさん一言。
わたしも「ああ、ほんっとーにチーズがすきなのね、きっと優子夫人の血はチーズで出来ているんだわ」と思って惚れ惚れその食べっぷりを見つめていたのですが・・・

ま、まさか腹痛を催されてしまったなんて!!
っていうか、どこへ行ってももしかしてあんな調子で試食会しまくりだったりしたんじゃ!!

ああ、どうぞ回復してくださいますように。
で、次に受け取る電話は「なんだかすっきりしたみたいです!」でありますように・・・
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# by dersuebeppi | 2007-03-26 20:33

ラブ絵葉書

昨日東京からポルトガルへレンタカー一周旅行にいらした3人家族のお客様を、リスボン半日観光にご案内いたしました(午前中のみの半日で終わらせるつもりが、結局鯵やイカのグリルだの食べてたら夕方になってしまいましたけど)。
その急ぎ足での半日観光中、ふだん通らない小路なんかに入ってみたところ、ポルトガルの昔の商品などを再現した様子の物を扱ってるお面白いお店をみつけ、そこで2枚の絵葉書を購入いたしました。

この画像では見えませんが、小さく下の方に「Para ti, meu amor」(君の為に、愛する人よ)と銀文字で印刷されております。ラブ絵葉書として用いられていたのでしょうか。
そしてもう一枚はこの続きで撮影されたものらしく、同じ登場人物で背景が変わっています。

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一枚目:
男)「ねえ、すぐそこにとってもオススメのスポットがあるんだ、行ってみないかい?」
女)「え~、あたしもう歩くの疲れたわよ、なによそのオススメのスポットって・・・」

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二枚目
男)「ほうら、どうだい。なかなかいい場所だろう?」
女)「そうね、かなりしょぼいけど、この上に乗れば見晴らしもいいわね。あんたのことちょっと見直したわ」

気になるのは女性モデルの気の乗らなさそうな表情です。ちっとも楽しいデートに見えないのですが、男性の額に波型の皺を寄せながらの必死で気を配る様子が痛々しくもあります。
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30年ほど前のものだと思われますが、巧妙なつくりの合成写真でございます。

ところでこの3人ご家族ご一行様はその後オビドスという町目指して出発されましたが、ご主人は飛行機の中でも眠れず、しかもリスボンに着いたその夜も日本から仕事の電話が掛かってきて一睡もできなかったんだそうです。
「・・・The 日本の働きマンだ・・・」と衝撃を受けるも、ご主人はその疲労感を体の細胞の中から外には放出させない術を持っているのか、見た目至って平気。私もそうだけど、ガタイのでかい人って疲労感醸せないんですよね。
でも昼飯で大好きであろうはずのアルコール摂取をかたくなに拒んでいるのを見て「かなりキてるな」と察知。見知らぬ土地での遠距離車移動、大丈夫かしらと思うも、奥様と12歳のお嬢さんが物凄い「しっかりものオーラ」でお父さんを支えている様子がわかりました。
見送った旦那も「あのシニョーラが一緒だからきっと大丈夫だね」と安心した様子。
今頃どこぞで旨いポルトガル料理でも召し上がってるころでありましょう。
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# by dersuebeppi | 2007-03-25 18:26

考察。リスボンいいとこ


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はっきり言って住み心地いいです。
ここに暮らしている日本の、特にお仕事でいらしているような方たちは不満不服で満ち溢れているみたいですけどね。
イタリアで苦労テンコ盛りの生活をこなしてきたわたくしには、ほぼ理想郷でございます。

都市なのに都市の奢りがない。
人の親切さが似非じゃない。
人の様子が表層的じゃない。
日本がさっさと排除してしまった「古き良き」光景が暮らしの中でいきいきと現存し続けている。
謙虚でありながら、尊厳を保つ人が多い。
晴天率ヨーロッパ一番。
人間至上主義&合理主義のヨーロッパにおいて、最も自然と向かいあったときの人間の儚さを自覚している雰囲気。

以前長きに渡って暮らしたイタリアは確かに全ての文化においても歴史をとっても、今に及んで全世界の人達を虜にする要素満載ですが、そのお陰で「オレ様万歳」的な横暴さが染み出てきてしまってます。「イタリアって言ったら明るくて楽しくて皆いい人でおしゃれでセンチメンタルでニューシネマパラダイス」みたいな解釈をされていることに自ら覚醒してしまって、謙虚さのケの字も感じられない場合があります。
信じられないことですが、今なんとイタリアにおいても学校の成績が悪かったので自殺してまう子供がいたりするのですよ。20年前までは有り得なかったことです。
イタリアといってもまあ地域によって差はありますけどね。
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ポルトガルは確かにいろいろ不便だったり、ボロかったり、人が頑固過ぎて困ったり、いろいろあります。でも私はどうしても日本の便利さや円滑さが人間のライフスタイルとして最高のものだとは思えないのです。
みんなそれぞれですからね、日本至上主義でも別にいいんですけど。でも一応海外に出てきてるわけだからそれなりの覚悟やら礼儀やらあっていいはずなのに。そういう人に限って基本的な礼儀作法とか全然なってないし、そんな自分に気づきもしない。たまらんです。

うちのお向かいに暮らす50歳のおじさんは、私達が越してきて間もなく水道が使えない苦労を察知して、ある日私達が留守をしている間に家の扉の前に水で満たしたでっかいタライを10個も置いておいてくれてました。頼みもしないのに。親しいわけでもなかったのに。
で、お礼にってプレゼント持っていったら「絶対受け取れない」と頑固に断られてしまいました。なにもそこまで頑なに断らなくても、と思ったんですけどね。そのための親切だとは思われたくないってのがあったんでしょうね。
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ぼろいだの田舎だの言われてますけどね、本質的には寡黙な大人の国っていう感じがいたします。
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# by dersuebeppi | 2007-03-22 21:16

陶器のドアノブ

リスボンの本日の気温は25度。
ちょっと気分転換しにいつもの行き着けの浜へ出向こうと思ったら、今日はリスボンマラソンでテージョ川に掛けられた橋が通行禁止。
仕方なく急遽行き先を変更し、最西端のロカ岬のそばの浜へ。

そこで握り飯とパニーノを食し、寝そべって漫画を読んで帰宅。
(読んだ漫画は松田洋子の「文化住宅の初子」、これは映画になったそうです!見たい!!松田さんのブログ:松田洋子
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青い空と青い大西洋、すでに水着姿のポルトガル人(いくらなんでも気が早すぎ)を横目に読み込む松田さんの世界の組み合わせは大変抽象的でありながらも、なんとも心にしみる。
たぶんここんところ私は春ボケと疲れが重なって結構参ってたから、初子が改めて染み入るんだろうな・・・・

疲労感の表れとして3日前こんなことがありました。
家の男衆が出払ったのでその間に掃除を始めたわたくし。いつものように全身の力をみなぎらせて掃除機を駆使していたわけですが、我々の寝室のドアノブを握った瞬間、陶器で出来たそのドアノブが「グシャバリッ」と音を立てて粉々に粉砕。
ふとみると、ドアノブを握りつぶした私の左手が血まみれに。
さらによく見ると、親指の付け根に魚のエラみたいなものが。
さらにさらによく見ると、粉砕した投機のかけらが突き刺さっている様子。
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全身から力が抜けました。
だって、ニクが見えたんですもの。
なんだか黄色い粒粒みたな、なんだかわからないけど、よく豚肉なんかで見かけるような断層が見えたんですもの。
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しかし家には誰もいないので、「うおおおっ」と大声を上げる気にもならず、ただ黙ってしゃがんでしばらく考え込んでから、インターネットで『切り傷の処置』を調べました。
下手に消毒してはいけないそうです。ただひたすら水で流し洗うこと、と出ていたのでまずそうやって水で洗浄。でも血が止まらない。
やばい、これはもしかして病院で縫ってもらったりしなけりゃいけない傷なのか?
いや、でも縫うってのは要するに傷が動いてくっつかなくなるのを防止させるための手段でしかないはずだ。ならばこうやって押さえ続けてればくっつくだろう!
などと問答しながらトイレットペーパーで血を吸い取り続けました。
結果血は止まり、絆創膏で処置。
自分をこんなに丁重に扱ったことが、かつて今まであったでしょうか。
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しばらくして帰ってきた男衆に壊れたドアノブと私のエラ傷を見せてあげたら吐き気を催していました。男って痛みに弱いっていうけど、ダメね。

3日経って今日は傷がめでたくくっついています。人間の体の再生力って凄いもんですね。
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# by dersuebeppi | 2007-03-19 02:23

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