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そういうタイトルの本です。
先日日本を発つ直前に新潮社の編集者から頂戴したのですが、

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よくぞ、よくぞこういう本を書いて下さった。
そして出版して下さった。

古代ギリシャ・ローマ時代には一糸まとわぬ人間の裸体を、至上の美の表現として沢山の彫像がつくられました。でもこれらの彫像の、男性の股間はその数世紀後に蔓延するキリスト教(のモラルというもの)によって破壊されてしまいます。(共同浴場という素っ裸で集う場所もしかり)

では、日本のいろいろな場所で見かけるブロンズ像の男性裸体像、あれらの股間は何故に曖昧な処理をされてきたのか。なぜどこからか落ちて来た木の葉がたまたまあそこに引っかかっていたりするのか。
そして我々はそれに某かの違和感を感じるもなぜ意識を反らすのか。
いや、いいんですよ、別に反らして。反らして結構。意識なんかしなくていいです。

だけど、人々の股間に対する妙な見解というのは確実にあるわけです。
私が「テルマエ・ロマエ」のⅠ巻を出した時のあの騒ぎ、あれを必然的に思い出さずにはいられません。
いざテレビで紹介されれば帯はちゃっかり腰まで上がってるし、
書店によっては「お恥ずかしければ後ろにしてレジに出してください」と指示されるところもあったようですし、
「あんた男に対するセクハラでしょう」という非難のメールは来るし。
某週刊誌では男性の股間エキスパートみたいな紹介されたりするし。

いや、ちょっと待って。
あの表紙のイラストは彫刻なんです。
彫刻っていうのは、ルーブルとかエルミタージュとか、そういうところにぎっしり飾ってある白い石の裸体、あれをデッサンしたものなんです。古代ローマ時代なんて、皇帝とかエラい人が死んだら神格化して、みんなハダカの像にされるわけですよ。それこそ至上の美とされていたわけですからね、確かに奇麗なんですよ。
っていうか、わたしは美術学校出身者なんで、ハダカの人間のデッサンなんてのは老若男女もう腐るほどやってきていて、はっきり言ってハダカや股間に対しては何も感じなくできているのです。銭湯の番台に年がら年中座っているのと同じような感覚になってるんだと思います。

まあ、ここで今まで溜め込んできた様々な思惑を吐露するのは止めておきますが。

日本においても沢山の彫刻家や画家達がこの股間やハダカに対する世論と散々戦ってきたのだなあという事をこの本を通じて知って、私はとても心強くなりました。

著者である木下直之さんの東大の研究室は今こんな感じだそうです。
なんかよく見知った風呂お桶持ったローマ人がどさくさに紛れるように居ますけど…

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届いたばっかりの、今発売中の『芸術新潮』にも「帰って来た股間若衆」が掲載されておりまして(この写真もそこに掲載されています)、いやー 凄い。
金勢の道祖神から三島から葉っぱから
股間ひとつでその奥行きたるや…

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動物は問題にされることもないというのに。
人間のハダカってどうしてこういちいち厄介なんでしょうね。
以前某青年誌でボツになった漫画でそれをテーマにしたことありましたけど(どういう漫画だよ)、私の見解は「人間は二足直立歩行だから」というものでした。
間違っていないと思います。
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by dersuebeppi | 2012-11-07 22:24

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