スラムドック$ミリオネア

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インドのムンバイを舞台にした社会的な題材のくせにむちゃくちゃ大河娯楽な作品。

久々に「うおお~っ、見たあーっ!」というパンチの効いた充足感に満たされて映画館を出ると、そこが今までスクリーンで見ていたムンバイなんじゃないか?と錯覚させられるくらい、とにかくその映像とスピード感が醸す脳味噌へのイメージ浸透力効果は強烈。

どんなに世の中が不景気でも、お金が無くて世知辛くても、生きる楽しみも何も感じられなくなったとしても、この映画さえ見れば「あ、もう全然大丈夫だ」ってすっきりさっぱり開き直れる感じになると思います。
ほんっとにこんな鬱屈した時代にここまで鮮烈でエネルギッシュな映画を作ったダニー・ボイルは偉い!!

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タイトルからお察しできる通り、インドのスラム育ち(とはいえ最初は美しく強いお母さんがいるのですが・・・)の2人の小さな兄弟が、「人間を野放しにするとこういう現象が起こります」みたいな、不条理で汚くて希望もへったくれもありゃしないようなインドの現実社会の中で、物凄い生命力を駆使して生き延びていき、まあいろいろあって2人ともとりあえず立派(一人は現実社会に浸透し尽くすことで、もう一人はたった一つの希望を胸に正しくあることで)な青年になり、最終的には主人公の弟のほうがテレビのクイズ番組に出演、勉強よりもはるかに価値のある自分の凄まじき経験に満ち満ちた過去のお陰でクイズには全問正解、疑惑を掛けられつつも、最終的にはその名の通り「ミリオネア」を手にするという筋なのですが・・・

ミリオネアっていったらそらもう、億万長者の額ですよ。
でも不思議なことに、この映画を見ていくうちに、そんなお金の価値はこの青年の人生や、彼の抱いてきた一つの希望に比べたら、なんだかちっとも価値の無いものに感じられてしまうのです。言いすぎかもしれませんが、お金の価値なんてハナクソみたいなものにしか思えなくなります。

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そして実際映画の中で彼がなぜこのクイズ番組に出ようと思ったかという詰問に答えるシーンがあるのですが、そこでじーーーんとさせられた私。

お金なんてなくてもどうにか生きていける。
だけどお金では買えないかけがえの無いもの、それがしっかりと映画の中では揺ぎ無い芯になっていて、物凄く説得力がありました。演出がわざとらしくないから尚更でしょうね。

こういう映画、子供も中学生以上は見ておいた方がいいかもしれませんね。
今の日本とはある意味、何兆光年もかけ離れてる場所と人々のお話みたいに感じられますが。
それにしても、どうしてこう、子供を甘やかさない国や環境の子供って染み入るほど可愛いのでしょうか。もう見ててたまらないものがありました。
子供の生命力って凄いなあ。逞しくてなんて美しいんでしょうか。
自分の大好きなボリウッドスターがそばに来ているのが分かっているのに、ぼっとんトイレにと込められた主人公がぼっとんトイレに飛び込んでそこから外へ這い出て、いつも胸に折りたたんで大事にしまってあったスターのブロマイドを片手にサインを求めに疾走するシーン、最高でした。うんちまみれでもこんなに可愛くて、純粋で。ああ。

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仕事のノルマは達成してないけど、そんなちっぽけなことはもう気にならなくなりそうな私です(・・・今だけそう思うこと自分に許す)。
皆様も日本で公開されたら是非ご覧になってくださいね!!

これがアカデミー最優秀映画賞取ったらアカデミー賞もちょっとは信用することにします。
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by dersuebeppi | 2009-02-18 03:59

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