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Veneto州のピカソ、アレッシオ叔父さん

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部屋にこもって仕事をしていると、突然ノックもなくドアが開き、超ハッスル状態の姑と見知らぬ白髪の爺さんがどかどか入ってきて、
「ほら、これがヨメのマリよ!でもって、これがマンガっての。ほら!」
と、姑、おもむろに人様の原稿用紙を取り上げて見せ始めている。

ムッとしていると姑が思い出したように、
「あ、紹介するわ。彼が私の叔父さんのAlessio Tascaさん」

え、この人がAlessio!?

驚いて突然態度の変わる私。
へええ~、これが私をイタリアに呼んだマルコ爺さんの弟で、現在イタリアでも屈指のセラミックアーティストの爺さんか、へええ~ 顔もマルコにそっくりだ。
急にマルコ爺さんが懐かしくなった私。

このAlessio Tasca氏の名前はもう耳にタコが出来るくらい聞いてたのだが、いまだに一度も会うチャンスがなかった。Alessioも私に随分前から会ってみたかったらしく、やっと今回初対面が実現したという運び。

「よし、じゃあ、マンガはこの辺にして、ワシのアトリエを見せてやろう!そのあとうちでメシ喰おう!」

え!? マンガはこの辺でって言われても・・・
と、うろたえられる隙も与えられない。姑が私の肩をバーンと叩き「あっらああ、光栄じゃない!?ねえ!!」と叫ぶ。

本日のノルマの達成見込みナシ。仕方なく立ち上がって同じく本日のスケジュールの変更を已む無く強いられ、不機嫌な旦那と支度をし、アレッシオ叔父さんの危なっかしい運転の後を着いてゆく。よくこんな運転で80年ちかくも生きてきたもんだ。

まずNoveというところにある彼のアトリエに到着。
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おお、素晴らしい!
さすがVeneto州のピカソと呼ばれるだけあって、古い家屋を前面的に階層した巨大な敷地の中のアトリエはお金が掛かっていそうだ。
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でもって、なんだか日本人に共通するワビサビの趣があたりに漂う。
彼の作品にもそれが潜在している。
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「わしは人工的なもんは嫌いなんじゃよ! 自然が作品を作るんだとおもっとる!!」

見かけによらずアレッシオ叔父さん渋いこと言いますなあ・・・
でもその発言あたりから私のアレッシオ叔父さんに対するシンパ度が急激にアップ。
自然の中にぼそっと放置されている彼の大きな作品(全部セラミック)、確かに全然違和感がない。いい感じ。

そのあとまた危ない運転の後を着いて、丘の上にある彼の住居へと向かう。周りの風景がこれまたべネト州らしいみずみずしさに溢れていて素晴らしい。
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でもって彼の家も素晴らしい。
これまた超広大な敷地の中に、緑に埋もれるようにして彼が40年来のパートナーのドイツ人セラミックアーティストLee Babelさんと暮らしている住居が建っている。
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べネトのピカソと呼ばれていたり、その女好きな態度からは想像できないが、彼はずっとこのパートナーと中睦まじく暮らしてきている。

それにしても、ここらへん一体が全部このアレッシオの土地だというのだが、その広さたるや、丘まるまる一個ですよ。一応歩いて案内してくれたんですけど、おそらく全体の10分の1くらいでもうへとへと。
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その後Leeさんがささっとこしらえてくださった昼食。
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その辺の農家から買っているという自家製ワインがこれまたうまい。
もうなんだかすっかりいい気分。
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しかもアレッシオ爺さん、私の「モーレツ!イタリア家族」の単行本を以前に捲って見たことがあるらしく、「あんなにあの家族を貶して、お前もよくやるな!大したもんだ!!」と褒め(?)られ、焦る。
この爺さん、めちゃくちゃ勘が良い。さすがだ。


ノルマは達成できなかったけど、なんかもうどうでもいいや!!という気持ちになってくる。
懐かしいマルコ爺さんの話などして、じんわりしながら帰宅。

しっかし、いづれあたくしもこんな膨大な緑に包まれたオウチを建てられるようになりたいもんだわ!
by dersuebeppi | 2007-07-12 16:48

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