NHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」

NHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」:
特集2回目は奥地の無法遅滞で金を掘って一攫千金を狙う男どもガリンペイロについてだった。
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かつて読んだJ.アップダイクの「ブラジル」という小説の中で、アマゾンの奥地で金を掘る荒くれ者達の生々しい描写があって、こんな地獄のどん底みたいな人間の生き方が現実にあるんだろうかと思ったものだが、このドキュメンタリーが捉えていたのは現実どころか、それを超越して、マジックリアリスムの領域に差し掛かっているくらいの驚くべき世界だった。
想像やフィクションの力では、これほどまでに壮絶で生々しい演出は叶わないだろう。

番組の最後のあたりで、スタッフが帰る前日に、赤ん坊の時にゴミ箱に捨てられていたのを拾われたというガリンペイロの男が、一緒に食べようと捕まえてきた動物(恐らくタピールというアマゾンのバク)を捌くシーンがある。

腹を割くと中から胎児が出てきたが、男は仲間に他の臓物と一緒に『捨てろ』と指示をする。
テーブルの上に横たわる自然から寵愛をうけているかのような美しい獲物と、貪欲さのみで命を繋いでいる身も体もボロボロの男たちのコントラストも印象的だった。

視聴者の心境の安定を慮り過ぎた演出にもなっておらず、だからといって報道要素に偏り過ぎてもなく。現実がどんなフィクションよりも過酷で残酷で、そして詩的でもある、ということを痛感させられた良質のドキュメンタリー。
アマゾンという場所が舞台でもあり、月並みだけども、このガリンペイロ達を見ていてもやはりレヴィ・ストロースの「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」という言葉を必然的に思い浮かべずにはいられない。


是非オンデマンドなどで視聴してみて下さい。
ここ数年で見たドキュメンタリーの中では、私的には一番衝撃的でした。
NHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」

こちらにディレクターが綴ったこの取材に関する記事もあります:

ガリンペイロ――黄金に憑かれた男たち 密林の中の「王国」へ 黄金に憑かれた男たち

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by dersuebeppi | 2016-05-13 19:02