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海外暮らしという以前に日本でもイタリアでもテレビ自体を滅多に視聴しないので、わたしは朝ドラというものをきちんと見た事がありません。
しかし今期の朝ドラ「マッサン」は、たまたま日本に滞在している間にスタートしたことや、素材に共感や思い当たる事が多いこともあり、何となく見続けてしまっています

ところで、私の祖父は1915年から1925年までアメリカで、日本の銀行の支店を設立するために滞在していましたが、その間一度も日本には戻ってきていません。(写真左の白スーツの人)

年齢で言えば20代半ばから30代半ばまでの、男盛りの間の滞在ですから、当然現地の人との恋愛もありました。

滞在11年目にして祖父は日本へ戻る事になりましたが、その時付き合っていた女性は祖父が日本へ戻ってしまった後、彼に会いにわざわざ日本までやって来たのだそうです。


しかしその時祖父は両親が見つけてきた女性と既に結婚が決まっていた。
祖父はまさかアメリカで別れてきた彼女が彼を訪ねて日本まで来るとも思わず、その時点で一体どんなすったもんだがあったのかは知りません。
母も自分の母親から断片的に聞いた話しか記憶にないので…あとは想像するしかないのですが…
(写真は祖父のアメリカ滞在時のアルバムの最後のページにあった女性。この人ではないかと母は憶測している)

やはり当時の国際結婚というのは想像以上に難しい事であり、祖父の場合もなかなか「マッサン」のような展開にはならなかったようです。

身内にそんな事例もあるので、つい「マッサン」からは目が離せない私なのでした
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# by dersuebeppi | 2014-10-09 18:00



ヤマザキマリ+とり・みき 魅惑のトーク&LIVEナイト! 「今夜はブワァーッといってみよう!」
2014 09/28 [Sun] よる Open 17:30 Start 18:30 End 20:30 (予定)

前売チャージ券3000円 (要1オーダー制アルコール500円~、ソフトドリンク420円~)当日チャージ券500円増

「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリが最強のパートナー、とり・みきとタッグを組んだ歴史伝奇ロマン「プリニウス」!!
本作で共作する2人が、創作秘話から
W杯で訪れた抱腹絶倒のブラジル珍道中まで、
大きな声で言えない「ここだけのマル秘話」を大公開します!
 
さらに、とりマリの粋なLIVEもありで、大満足の2時間!

描いてよし、喋ってよし、弾いてよし、歌ってよしの2人が贈る魅惑の一夜なのだ!

1.『プリニウス』制作秘話

1巻が発売され、ますます期待がたかまる
『プリニウス』の今後の展開は? 
そして2人が語る、イタリア取材、
漫画制作風景や共作の苦労などなど。

2.ブラジル珍道中

サッカー好きのとりさんと
ブラジル好きのヤマザキさんが
意気揚々と乗り込んだブラジルW杯!
2人がそこで出会ったものとは!?

3.公開Q&A

会場のみなさんの質問にバリバリお答えします!
この機会に、なんでも聞いてください。

4.とりマリ LIVE♪

とりさんのギターにのって、
ヤマザキさんが、魅惑の歌声を披露!
今宵、お台場がイパネマ海岸になる?。

【出演者】



・ヤマザキマリ
1967年東京都出身。17歳の時、絵の勉強のためイタリア・フィレンツェに留学。海外生活の最中にマンガを描き始める。その後、シリア、ポルトガル、シカゴへ移住。現在は北イタリア在住。『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)でマンガ大賞2010、第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。その他の著書に『望遠ニッポン見聞録』(幻冬舎)『男性論 ECCE HOMO』(文春新書) など。現在は『スティーブ・ジョブズ』(ウォルター・アイザックソン原作 講談社)『プリニウス』(とり・みき氏との共著 新潮社)を連載中。


・とり・みき
マンガ家。熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。主な作品に『クルクルくりん』『愛のさかあがり』『石神伝説』『冷食捜査官』『遠くへいきたい』等がある。劇場版アニメ「WXIII機動警察パトレイバー」では脚本も担当。オジギビトと名づけた工事看板に関する著作や、吹替に関するコラムも執筆。2012年発売の山下達郎オールタイムベストCD「OPUS」ではジャケットイラストを担当した。現在、『プリニウス』(ヤマザキマリ氏との共著 新潮社)を連載中。


2人はとりマリ&エゴサーチャーズ(葛岡みちkey. 伊藤健太b. サンコンJr.dr.)というバンドを組みLIVE活動も行っているが、今回はドラムのサンコン氏が某メジャーバンドの復活で多忙なため、葛岡+伊藤の二人がアコースティックなセットで参加。

・伊藤健太(いとうけんた)  1976年11月28日生まれ ベーシスト。2001年にゲントウキに加入。2006年同バンド脱退後はフリーのベーシストに。現在はHARCO、黒沢秀樹(L⇔R)、菅原龍平など。

・葛岡みち(くずおかみち) 武蔵野音楽大学声楽学科在学中にバンド活動開始。バンド内からふたりぐみ "Vew-Ta" 結成。以後、川本真琴、大槻ケンヂ、ダイアモンド☆ユカイなどをサポート。現在はへんてこりん、トランスパランス、フ・タウタフで活躍。

・関 智(ナビゲーター)
徳間書店のSF専門誌「SF adventure」編集長。プレイステーションで原案、シナリオ、プロデュースを手がけたゲームソフト「とんでもクライシス!」が国内外でヒット。PS2で「ストリートゴルファー」をプロデュース。ソフトバンク配信コンテンツ「Yubio」編集長を経て、10年wiiソフト「珍スポーツ」原案担当。雑誌、書籍、ゲーム、携帯コンテンツなど多分野で活動中。

他!! 決まり次第随時発表!


チケットはこちら

前売りチャージ券はイープラスにて8/27(水)AM10時から発売!
イープラスのサイトは8/26(火)から見られるようになります。

ファミリーマート店頭ファミポートで予約なし手数料なしで24時間直接その場で購入出来ます。ネット予約の場合はセブンイレブン、ファミリーマートで支払い受け取りすれば手数料無料!!どの購入方法でもイベントタイトルの一部や出演者名を入力するか、「カルカル」で検索すればすぐ当公演が探せます。

ヤマザキマリ+とり・みき 魅惑のトーク&LIVEナイト!
前売りチャージ券はイープラスにて8/27(水)AM10時から発売!


お台場・東京カルチャーカルチャーは飲んだり食べたりしながら楽しんで頂く飲食店です。
全席自由席で入場は前売チャージ券の整理番号順~当日チャージの方の順での入場となります。
飲食の1オーダーは必須となります(アルコール¥500、ソフトドリンク¥420など)。
美味しい飲み物も食べ物多数準備して皆様のお越しをお待ちしております。

(主催・運営:ニフティ株式会社)

※ 金額はすべて税込表記です。
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# by dersuebeppi | 2014-08-27 22:41


昨年とり・みきさんとの共作で連載を始めた「プリニウス」が本日7月9日にいよいよ一巻刊行となりました。


古代ローマと日本には様々な共通点があり、前作の「テルマエ・ロマエ」ではその一つである「浴場文化」をテーマに比較文化をコメディ仕様で展開しましたが、実はその時から「まだまだ日本人なら他国人より理解できるローマ世界がある…それを思う存分表現したい」という思いがつのっていました。

今回プリニウスという世紀の博物学者を要に、この作品の中で取り上げたかった日本と古代ローマの共通のテーマはずばり「震災の国」です。


地震、津波、そして火山の噴火という天災が頻繁に繰り返される南北に細長い国土で、毎回ダメージに屈する事なく再生に立ち上がってきた古代からのイタリア半島の住民達。そんな人間の力では成す術もない不可抗力な現象が絶え間なく生じる世界の中で、地球という未知の惑星への絶え間ない探究心で充ち満ちていた男プリニウス。ベスビオ火山の噴火に巻き込まれて人生を終えることとなった博物学者の、妥協の無いダイナミックで繊細な視点は「博物誌」となって後世に残されました。

もしこの「博物誌」の中で記録されている、突飛も無いのに、妙に親近感を覚える世界感を漫画にしてみたら…… 
そう思い立った私は、ベテランの大先輩であり、テルマエでも背景をお手伝いいただいた友人の作家とり・みきさんに「一緒にやりませんか」と声をお掛けしてみたのです。原作者と漫画家、という振り分けではなく、完全に共著というスタイルでの創作も私に取っては新しい試みでしたが、これがやってみるとたまらなく面白い!


その辺りの詳細は、こちらのプリニウス公式サイトでの対談で詳しくお読み頂けます。

まずは一巻を手に取って頂いて、私ととりさんがイメージするプリニウスの人となり、そしてプリニウスが生きた時代の古代ローマ世界をじっくりお楽しみ下さい。
そしてこの本を通じて、古代ローマの人間達が天災とどう向き合っていたのか、森羅万象をどう受け入れていたのかに興味を持って頂ければ嬉しいです。


AMAZON プリニウス

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# by dersuebeppi | 2014-07-09 01:16 | 漫画・仕事
「あっ!?」
という間に2014年も最初の一ヶ月が終わろうとしておりますが、わたしの暮らす北イタリアの街は毎日雨…冷たい雨が降り注ぐ日々です。
こんな時は直ぐにでも飛行機に飛び乗って、南半球の、カッと太陽が照らすサンバの国へ移動したくなりますが、そんな衝動を抑えながら仕事に励んでおります…

ところで、今更ですが何やらわたしの作品やインタビューが読めるWEBサイトが沢山ある事に気がつきました。
せっかくなので、纏めてみようと思います。

家の掃除、ネットの整理… これらは全て仕事に集中力を投じられていない時に私が取りはじめる主な行動ですが、大丈夫。
このブログの投稿を纏めたら、速やかに仕事に戻ります…





文芸春秋CREA
「立っている者はリョウコでも使え!」
(今月から文章エッセイになりました、リョウコの知られざる家族の実態を取り上げております)





講談社KISS
「スティーブ・ジョブズ」
(ウォルター・アイザックソン原作の「Steve Jobs」をマンガ化しております)





幻冬社
「望遠ニッポン見聞録」
(文芸誌パピルスで連載していたエッセイ、日本と異国のお手軽比較文化論)





メディア・ファクトリー
「アジアで花咲け!なでしこたち」
(NHKでシリーズとなっている、アジアで活躍する日本女性を訪ねるルポルタージュ)





日経ビジネスオンライン(要登録)
「とりマリの“当事者対談” とり・みき ヤマザキマリ」
(2013年の秋に連載された、とり・みき師匠との対談。なんだか知らないけど炎上とかしました)





日本経済新聞(要登録)
「往生際の悪い奴:島田雅彦」
(島田雅彦さん原作の週間連載小説に挿絵を描いてます)





マガジンハウス
「ブスの瞳に恋してる:鈴木おさむ」
(HANAKOで連載中の鈴木おさむさんのエッセイに挿絵を描いています)





エンターブレイン
「テルマエ・ロマエ」
(1話目が試し読みできます)


思いつくところは以上です…

登録が必要ですが、最近のインタビュー記事としては:

日本経済新聞(要登録)
「こころの玉手箱」

朝日新聞(要登録)
「著者に会いたい 『男性論 ECCE HOMO』 ヤマザキマリさん 」

読売新聞
「著者来店 『男性論』 ヤマザキマリさん」



では仕事します!!
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# by dersuebeppi | 2014-01-30 17:05 | 漫画・仕事


あけましておめでとうございます。
2014年は午年ですね。
わたしの小学校時代の渾名は鼻息が荒かった事から「ウマ子」でした。
なので、今年はこの鼻息の荒さが生かされる素敵な1年になることを期待して止みません。


今月1月、NHKにて以下の番組が放送されます。
よろしかったらご覧下さい。

ヤマザキマリのアジアで花咲け!なでしこたち」スペシャル版
1月4日(土)[NHK総合] 午後1時05分〜1時55分



「アジアに単身渡って力強く生きる日本女性たちを、大ヒット漫画「テルマエ・ロマエ」の作者、ヤマザキマリさんが訪ね、漫画を織り込みながら彼女たちの魅力を描くドキュメンタリー、「ヤマザキマリのアジアで花咲け!なでしこたち」。2013年2〜3月と8月の2シーズン、8回にわたって放送し、好評を博した番組の中から厳選したスペシャル版を2014年1月4日に放送する。フィリピン北部の山奥で、山岳民族とともに暮らしながら、彼らの独特の竹細工を生かしたアクセサリーを製作・販売し、ビジネスを通じて現地の文化を守ろうとする女性や、ベトナムの農村で、ベトナム戦争で米軍が散布した枯葉剤の影響に今も苦しむ人々などの支援にあたる女性など、現地にしっかり溶け込んでたくましく生きる女性たちの姿をお伝えする。2014年の正月明けは、爆笑トークあり、涙ありの素敵な出会い旅でお楽しみいただきたい」


SWITCHインタビュー 達人達「中村勘九郎×ヤマザキマリ」
1月25日(日)午後10時00分~午後11時00分



「歌舞伎界の次代を担う若手スター・中村勘九郎と、大ヒット漫画「テルマエ・ロマエ」の作者で世界を旅する漫画家・ヤマザキマリ。歌舞伎と古代ローマが時空を超えて交錯する…
古代ローマ人が日本の銭湯に迷い込む奇想の大ヒット漫画「テルマエ・ロマエ」。作者・ヤマザキマリは昨年亡くなった中村勘三郎と親しく、息子・勘九郎にどうしても会ってみたかったという。歌舞伎界プリンスの挫折と奮闘、父の壮絶な稽古、ヤマザキ作品を生みだす世界放浪体験、歌舞伎と古代ローマの意外な接点まで、対話はとどまるところを知らない。そして2人は、勘三郎がひそかに進めていたある壮大な計画を知ることに…」


それではみなさま、良いお年を!


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# by dersuebeppi | 2014-01-02 10:09 | 漫画・仕事


そして本日18日は、「プリニウス」新連載開始号「新潮45」の発売日。
とり・みき先生との満遍ない共作です。
とり先生とのナポリ周辺火山・古代遺跡取材報告のページもございます。
ご興味のある方は、漫画雑誌コーナーには置かれていないと思うので、文芸雑誌類の場所をご覧になってみて下さい。日本におりませんので書店まで確かめには行けないのですが、きっとそこになら置いてある筈…
(「世界はだいたい日本の味方」という大きな見出しのせいで表紙の噴火山が桜島か何に見えるかもしれませんが、紀元79年のヴェスビオ火山です)
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# by dersuebeppi | 2013-12-18 14:48 | 漫画・仕事


明日(12月18日)、このような新書本が発売されます。

いったいどんな経緯で、このような大胆なタイトルの、しかも帯を見れば「テルマエ・ロマエ作者の波瀾万丈な男性遍歴」という「え!?わたしの男性遍歴!?」と思わずひっくり返りそうになった、凄い惹句付きの本が出る事になったのか。
細かい説明はいたしませんが、まあ企画自体は去年から動いていたものです。ただ書き下ろす時間が私の現状からは捻出できなかったので、今回は“語り下ろし”というスタイルで進めて頂きました。

担当編集者の女性と、「男も女もお互いのジェンダー観念をもっとボーダーレスにしないと、日本はこのままだと、いづれ独身だらけになってしまうんじゃないか!?」という懸念のようなものを語り合ったのがそもそもの発端だったわけですが…
それが何だか知りませんが、古代ローマのハドリアヌスからスティーブ・ジョブズ、ソフィア・ローレンに須賀敦子、至難の国際結婚やら例の炎上問題に至るまでの、えらい広範囲な内容となってしまい、やがて総括したテーマが「日本にもルネサンスが起きますように!」という途方もないものになってしまいました。

こんな抽象的で収集のつかない内容を纏めて下さったライターさんも大変だったろうと思います。この場を借りてお礼を申し上げます。

とりあえず、生身の男性達との素敵スキャンダラスな「男性遍歴」ではありませんので、その点はご了承下さいます様に…


              (わたくしの憔悴した気弱なドヤ顔も目印)





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# by dersuebeppi | 2013-12-17 22:35 | 漫画・仕事



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# by dersuebeppi | 2013-10-19 17:32
 イタリアではネームを考える時以外は大抵国営放送のラジオ番組RAI3を聞いているのですが、この局ではジャンルを問わない様々な音楽が聞けるだけでなく、文芸関連や映画、または政治等に関する時事問題の番組も多く、つけっぱなしにしているだけでかなり多元的な知識や情報を提供をしてもらえるので大変気に入っています。
 
 先日いつも通りに朝起きてすぐにこのラジオを聞き始めたら、「今から50年前、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のエルト・エ・カッソ渓谷の村のヴァイオントダムで起こった大惨事について」という、専門家を招いての座談会方式の番組が放送されている最中でした。
 
 このダムは1960年に竣工された当時、堤高の高さが262メートルという当時世界で一番高いアーチダムとして注目を浴びていたのですが、その後1963年に天候不順が続く中隣接していた山が大規模な地滑りを起こし、膨大な土砂と岩盤が時速100km程度とされる高速でダム湖になだれ落ちました。
 
 これによってダムの水は巨大な津波と化し、谷の斜面を高さ250mまで駆け上りました。ダムから240m以上の高さにあったカッソの集落では家屋が波に飲み込まれ、また5000万m³に及ぶ水が(どれだけの量なのか想像もつかないのですが)ダムの頂部を100mの高さで飛び越えてピアーヴェ川沿いの村々を襲い、とくに、峡谷の出口にあったロンガローネの集落は上空から落ちて来た水の塊の直撃を受けて一瞬のうちに村が壊滅するという、恐ろしい被害が生じてしまいました。
 災害による死者は住民・ダム工事関係者合わせて2125人とされている、当時のイタリアを震撼させたまさに大惨事です。
 

 
 イタリア土木工学最高の技術で作られたダム自体は殆ど損傷が無かったのに、周辺の地質調査が杜撰だった為に村が一つまるごと消えてしまったというショッキングな出来事。イタリア人に言わせれば「あまりにイタリア的」なこの惨事を知る人も、ラジオの話を聞いていると世代交代によって今ではすっかり減ってしまったのが現状なのだそうです。忘れ去られぬ為には教育機関を通じて語り続けられていくべきである、等という提案をラジオでは延々としているわけですが、私は実はこのダムの話を既に耳にしていたので、その惨事の事情を詳しく知ることによってとても感慨深くなりました。

 
 というのも、私が今住んでいるパドヴァの築500年のこの家の階下には家主夫妻が暮らしていらっしゃるのですが、ご主人はブルーノ・ザネッティン氏というパドヴァ大学で教鞭を取られていた地質学者で、我々が入居した時はご病気で直接お会いする事が無かったものの、夫人から、この方の恩師が上記のヴァイオント・ダムの建設で周辺の地質学調査の総合責任者であったという話を聞いていたのです。
 私以外のその場に居たイタリア人の家族達は皆それを聞いたとたんに閉口し、表情には複雑なものが浮かび上がっていました。「うちの夫は直接関わっていないはずなのですが…」と口ごもる夫人でしたが、明らかにその場が消化不良な不穏な空気に包まれていたのは確かです。

 人間の手が加えられた事によって津波というものが、思いも掛けないような場所でも生じるという事例としては本当に悲劇としか言いようの無いヴァイオント・ダムの惨事なのですが、地質学調査の総合責任者という立場上恩師がその後国から責任問題を問われるという顛末になってしまったのをザネッティン教授はさぞかし辛い思いで受け止めたに違いありません。

 
 実はこのザネッティン教授、長い闘病生活の末、去る10月9日(ヴァイオントの惨事と同じ日)にご自宅で逝去されました。昨日はパドヴァの大聖堂で教授の葬儀があって私も参列したのですが、高齢の学士の葬儀に集まるのはやはり年齢層の高い学者や大学関係者(ヴェネト州科学・芸術アカデミーの総長もなさっていた)が殆ど。華美さの一切排除された厳かで静かな葬儀でありましたが、追悼ミサが終わった後棺はパドヴァ大学に運ばれ、そこでザネッティン教授に師事した人々が、ひとりづつ彼の過去の思い出や功績などを語っていくというセレモニーが行われました。
 
 ザネッティン教授の人生で最も忘れ難い重要な出来事といえば、それは世界で初めてK2登頂に成功したイタリアの登山チームに地質学者として参加した事でしょう。

 
 階下の教授の家に初めて入った時、壁の本棚にびっしり並べられた厖大な数の地質学関係の書籍と壁に貼られた何処の地域かも判別できない地図や写真、そして部屋の隅に飾れた仏陀の胸像に目がいきました。「チベットから主人が運んできたのです」と私の視線の先に気付いた夫人。「実は私も登山家なので主人の調査に付き合って沢山の山を上りました」無造作に沢山の小説や本が積まれた机の向こう側に座って煙草の煙をくゆらせながら、「だから私も主人もあなたと同じく、イタリア人だけど温泉が大好きなのよ」とこちらを見て微笑んだのが、何とも粋でした。単なる夫婦という拘わりだけでなく、お互いの仕事や好奇心に敬いを抱きながら一緒に行動をし、経験や記憶を共有できる。その思い入れが高齢になっても色褪せていないのは本当に素晴らしい事だなと感じました。

 追悼ミサの時に司祭が「教授のこの身体は生きている間、この地球で見つけられる沢山の事に興味と好奇心を抱き、そして出し惜しむ事無くそれらを様々な行動の原動力に変えてきました。沢山の辛い事も受け止めて来た事をわたしは知っていますが、それにも勝る喜びをこの身体は受け止めてきたのです。本当にいっぱい生きた身体でした」と話されていました。自分の励ましにも繋がるとても印象的な言葉だったので今でも頭の中に司祭の声でリフレインし続けています。

 地質学にはそれまで特別大きな興味を持った事はありませんが、ダムにしろK2にしろ、実に様々な角度から地球と向き合わせられるこの世界に生きた一人の学者が暮らしたイタリアのこの古い家屋には、私の今まで知らなかった分野の歴史が刻み込まれているのでありました。

                 (中央の方がザネッティン教授)

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# by dersuebeppi | 2013-10-12 18:01
 イタリアの生んだ世紀の物理学者にエンリコ・フェルミという人がいます。この人は放射性元素の発見で1938年のノーベル賞を受賞、妻がユダヤ人であったためムッソリーニの弾圧から逃れてアメリカに亡命し、赴任先のシカゴ大学で世界最初の原子炉「シカゴ・パイル1号」を完成させ原子核分裂の連鎖反応の制御に史上初めて成功させたという人物でもあります。


 
 数年間に渡ってシカゴ大学と拘わりを持った事がきっかけとなって、私はこの物理学者の存在や彼と放射線、そして原子爆弾との繋がりについてを知るに至ったわけですが、実は今年の夏に日本に帰国した折に宮崎駿監督の「風立ちぬ」を見ている間中思い出していたのが、このフェルミという人物でした。
 
 方や飛行機のエンジニア、もう一人は物理学者ですから一件なんの拘わりもないように見えますが、お互いただ大好きで突き進めていた開発や研究(まあフェルミの場合は見付け出してしまった物が破格にとんでもなかったわけですが……)が戦争という辛辣な運命の顛末に巻き込まれて行くという点が相似しているように思えたからです。
 
 なので、ベネチア映画祭で「風立ちぬ」が上映されると知った時、フェルミという人物を生んだイタリアがこの作品の主人公をどう見るか、総体的にどんな批評がなされるのかという事に個人的にはとても興味がありました。

 ちなみにイタリアでは結構田舎でも宮崎アニメの認知度は高く、私の周りにも家族を含めて沢山のファンが居ます。普段アニメの類いは決して見ないうちの姑ですら舅から見せられた『紅の豚』を未だに「アレはよかった」と繰り返すくらい、宮崎駿の作品は他のヨーロッパの人種よりも殊の外イタリア人の心に届く何らかの要素があるようです。
『紅の豚』に関してはアドリア海が舞台になっているという理由もあると思いますが、それ以外の作品でも高い評価を得ているのは、やはり宮崎駿という作家であると同時に“モノ作り職人”としての妥協の無い仕事をそこに認めることができるからなのでしょう。
 
 古代ローマの時代から、究極の人間技を発揮した完成度の高い創作品に感心したり感動したりするのが大好きなイタリア人。それは彫刻や絵画のような美術であったり、音楽や映画のような瞬間芸術であったり、またはフェラーリやオリヴェッティのようなテクノロジー関連であったり、または物理や天文学といった科学的な発展への携わりも含めて、「センスと集中力とファンタジーの生き物」である人間性が潔く確立化したものであれば、真っ向からそれを評価しようとする姿勢がこの国の人達にはあるのです。宮崎駿のアニメーションが高く評価されるのは、こうした彼らの審美眼に氏の作品が十分叶っているからに違いありません。しかも「風立ちぬ」ではイタリア人の誇りでもある航空機エンジニア・カプローニが日本人である^主人公の“憧れの人”として登場するわけです。
 
 そういった意味から、日本では様々な論議を醸した作品ではあったとしても、先述のフェルミという存在の認識の免疫も含めて、イタリアではどう受け止められるか、今までの宮崎作品と向き合うのとはワケが違うという前フリは日本での公開時からイタリアでもメディアで伝えられていたので、今回の映画祭でのプレミア上映に関しての記事を読むのがちょっと楽しみでもありました。

 しかし、この映画祭のタイミングで宮崎駿の引退が発表されてしまった為、イタリアの各メディアは「風立ちぬ」の論評よりもまず「これがミヤザキ最後の作品」だの「“生きねばというコンセプト、ミヤザキの引退理由が健康と関係のあらん事を”」などといった見出し一色状態。中身も「やはりサヨナラを示唆してつくられた作品だったのか」という“最後の作品フィルター”が掛けられた内容のものが大多数で、これではイタリア人が得意とする作品に対する真っ向な容赦のカケラも無い大胆な考証がなされた批判に全く辿り付けません。

 やっと一つの新聞の批評がエンリコ・フェルミを引き合いに出していましたが、それも引退のネタを抜いた全体の三分の一程度の記述の中に一行だけ「主人公ジローの立場は我々もよく知っている物理学者にも思い当たるところだが」と言うような案配で書かれている程度。せっかくだから、フェルミを連想したこの記者の見解をもっともっと読みたいところではあったのですが…
残念。
 
 まあ確かに、彼らにとっても失うには惜しい貴重な文化人が制作をもう続けないと言っているのですから、作品の内容よりも「ミヤザキ引退」が大事件であったことは間違いありません。なので今はただこの寂しさにやり場の無くなった騒ぎが治まり、イタリアの宮崎ファンの諦めが鞣された頃に、誰かが面白い「風立ちぬ」評を書いてくれるであろう日を待ってみるしかなさそうです。 
 


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# by dersuebeppi | 2013-09-03 06:29